なぜ選ぶたびに後悔するのか|洋書要約と感想【選択肢が不幸を呼ぶ】

こんにちは、ちえみです!

この記事は洋書書評No.2です!

意思決定に関する社会心理学の洋書、The Paradox of Choice(なぜ選ぶたびに後悔するのか)の要約と感想をご紹介していきます。

この本は、人生をより豊かにするためにある個人の自由や選択肢の多さが、かえってわたしたちの幸福感を下げていることを心理学観点から切り込んで解説している1冊です。

この本の著者バリー・シュワルツは、ペンシルベニア州にあるスワースモアカレッジに所属する心理学者で、人間の意思決定に関する研究などを行っています。

経済と心理学が混ざり合う社会心理学的な分野を専門とし、今回ご紹介するThe Paradox of Choiceのほかにも心理学に関する書籍を出版しています。

たくさんの選択肢こそが私たちを不幸にする

これがこの本のメインテーマですが、そのほかにも以下のような疑問を解いてくれています。

  • 「自由」の犠牲になるのは一体誰?
  • なぜ選択肢が人を不公にするの?

過去にないほどの「自由」を手に入れた現代人からすると???マークが頭に浮かんでくるような主張ですが、「自由」の裏側に隠れる心理学を知れば、なぜたくさんの選択肢で不幸になるかより深いレベルで理解できますよ!

なぜ選ぶたびに後悔するのか|「自由」に犠牲になる選択スタイル

昔は考えもできなかった「職業の自由」が今や当たり前の自由となり、最近では夫婦別姓など次世代にとって当たり前となるであろう自由がでてきていますね。

それだけでなく、わたしたちの身近な生活の中でも、あふれるようなショッピングサイトや立ち並ぶ飲食店、新しいエンターテインメントなどなど、かつてないほどの自由や選択肢にあふれる現代。

その自由さと新しい選択肢を楽しもうとやっきになるわたしたちは、実はいつの間にか深い落とし穴にハマっています。

たとえば、こんなことをふと考えたことはないですか?

  • 服を1〜2着買うためだけにこんなに時間て使ってたっけ?
  • 迷いに迷った末に何も決められなかった、、、
  • 何か買った後にそれ以上にいいものを見つけたらすごく後悔しちゃう

実は意思選択には2種類の選択タイプが存在します。

  • サティスファイサー(Satisficers)
  • マクシマイザー(Maximizers)

サティスファイサー(Satisficers)は満足するという意味のSatisfyと犠牲にするという意味のSacrificeが混ざった造語で、「これで十分」というレベルで折り合いをつけることができる選択タイプの人のことを指します。

マクシマイザー(Maximizers)はその名の通り、「何よりも秀でてるベスト」を選ばないと気が済まない選択タイプの人のことをいいます。

わたしもマクシマイザー経験があり、たった1着の服を買うためだけにモールにある店を疲れるまで見て回って、悩んだ末に結局買わなかったことは何回もあります。

選択肢が昔ではありえないほど多くなった現代では、このようなマクシマイザー多くなってきてきます。

マクシマイザーの典型的な傾向として、選択する場面で以下のような考え方や行動をすることが多いです。

  1. 何を選んでもそれよりもっといい選択肢があったんじゃないかと考えてしまう
  2. 「何よりも秀でてるベスト」な選択肢を選ぶために時間やエナジーを相当使っている
  3. 目の前にある選択肢だけでは不安なのでつい別のサイトや店も見に行ってしまう

実はマクシマイザーは、他人から見るといい選択肢を選んでいるのに、主観的にはその選択肢に満足できなかったり後悔することが多く、不幸度が高いのです。

たとえていえば、倍率の高い誰もがうらやむような会社でキャリアを積み、誰から見ても高評価な恋人がいて、友達もたくさんいるけど、今の人生に満足できない、みたいな感じですかね。

これは極端かもしれませんが、このように他人から見た幸福度と主観で感じる幸福度に大きなギャップがあるのもマクシマイザーの典型ともいえます。

誰しもがマクシマイザーになってしまう分野があり、サティスファイサーでも満足できる分野がありますが、マクシマイザーになる分野が多ければ多いほどマクシマイザーの典型的な傾向に当てはまります。

そしてマクシマイザーこそが、選択肢という「自由」が広がる現代社会の犠牲になるというのです。

なぜ選ぶたびに後悔するのか|選択の心理学が起こす人間のエラー

人間は何かを選択するときによく心理的な判断エラーをします。

その判断エラーは以下の心理学的現象によって引き起こされています。

  1. 利用可能性ヒューリスティック
  2. アンカリング効果
  3. フレーミング効果
  4. プロスペクト理論

利用可能性ヒューリスティック

利用可能性ヒューリスティック(Availability heuristic)とは、記憶に強く残っている情報をよく頻発して起きることと誤解してしまうことです。

たとえば、よくテレビ番組で飛行機のハイジャック話や墜落事故の話が流れたりしますね。

そういった飛行機にまつわる恐ろしい情報を見て、飛行機は恐ろしい乗り物と思う人は多くいるかもしれませんが、実は飛行機は車に乗っているより安全とさえ言われています。

人間の脳はすぐ思い出せる情報は頻繁に起こるから覚えているに違いないと考える傾向があり、特に頻繁に起こってないけどすぐに思い出せるような印象の強い情報(今回の例だと飛行機事故)も、起こりやすい現象だと勘違いしてしまうのです。

このような脳のショートカットによって、わたしたちがインプットする情報にバイアスがかかった状態となるのです。

アンカリング効果

アンカリング効果(Anchoring)とは、何かを比較して意思決定する際に起こる心理的効果で、物や値段などを判断基準のベースにして選択することで起こります。

たとえば、スニーカーのセールで買い物中、予算大幅オーバーだけど気に入ったシューズを見つけます。

さらにセール棚を見てくと、さっきのシューズより安くてこれも自分の好みのシューズを発見。

結局2番目に見つけたシューズが値段的にも見た目などの好み的にも1番目のシューズより優秀だったため、2番目のシューズを購入。

レシートをじっくり見ると、なんと予算をオーバーしていた、なんてことありませんか?

これは最初に見つけたシューズを基準に他のシューズを比べて購入を決断したことで発生したアンカリング効果です。

アンカリング効果によって判断の基準が塗り替えられてしまうため、思っていたよりお金を使ってしまっていたなんてことが起こるのです。

これもわたしたちが意思決定する際に判断エラーを起こす原因です。

フレーミング効果

フレーミング効果(Framing)何をどんな「言語」で言い表すかによって、わたしたちの心理的な感じ方を変える効果です。

たとえば、〇〇賞金賞受賞!と宣伝している商品があったとします。

その賞に詳しくなければ、金賞を取ることがどれほどむずかしいのかまではわかりませんよね。

金賞受賞!=賞を取るくらい質がいい商品だと解釈することもあるでしょう。

もしこの〇〇賞が実はエントリー規模が全国で5社しかないと知ったら、それでもその商品買いますか?

ほかにも、満足度90%と宣伝する商品があったとします。

90%と聞くとなかなか高い満足度だ=きっと商品やサービスの質がいいんだろうと思って買いたくなりますよね。

でももしその商品の業界満足度の水準が90%超えだったとしたら、「なんだ業界ではふつうの満足度じゃん」となりますよね。

このように、何をどんなことばで言い表すによってわたしたちの解釈を変えることがフレーミング効果といわれ、この効果もマーケティングなどで使われています。

プロスペクト理論

プロスペクト理論(Prospect Theory)とは、不確実性下における意思決定モデルといわれ、期待される利益と損失に対してどのように人は心理的にどう判断するのかを解き明かしている理論です。

といってもよくわかりづらいので、以下の表をご覧ください。

(といってもわたしのノートも汚いのでわかりにくいという方、すみません泣)

これは主観的に見たときの利益・損失への感じ方と客観的に見て利益・損失の大きさを表したプロスペクト理論の図です。

利益エリアにある曲線ラインは一度上がるとすぐにゆるやかになっていて、逆に損失エリアの曲線ラインはマイナス方向により大きく下がってからゆるやかになります。

実はこれは、利益よりも損失に大きく反応する人間の心理を描いています。

たとえば、この場で1万円をもらったときの幸福の感覚を+1だとすると、この場で1万円取られたときの不幸の感覚はー2になるくらい、わたしたちは何かを失うことにより心理的なインパクトを受けるのです。

心理学的には何かを失うことは何かを得ることの2倍以上のインパクトを持つとされています。

しかも、利益に対する心理的インパクトはすぐに先細ります。

たとえばお小遣いが1万円から5万円になるといわれたら心理的にはものすごい利益を感じますが、101万円から105万円になる場合だと同じ額上がっているのに同じくらいの喜びを感じません。

このように、プロスペクト理論を使って、わたしたちは何かを失いたくないからという理由で何かを決断したり、少額の利益でもものすごく得した気分になるからという理由で何かを買ったりしているのです。

なぜ選ぶたびに後悔するのか|あふれる選択肢が人を不幸にする理由1

なぜより多くの人のニーズを満たして人を幸せにするはずのあふれる選択肢が人を心理的に苦しめているかというと、マクシマイザーの選択スタイルが原因です。

マクシマイザーは先ほど解説したように、「ベスト」を追い求める意思決定スタイルを取っています。

自分が求める「ベスト」を手に入れるため、時間やエネルギー、リサーチ、選択肢の比較など、何かに決めるためだけにサティスファイサーとは比べ物にならないくらいの心理的な「投資」をしています。

そして、選んだものが自分の「投資」と見合わなかったとき、とてつもなく後悔します。

また次に決断を迫られるような場面がきたときに、同じような後悔をしないようさらに「投資」したり、決断することから逃げ始めます。

ただでさえ選択肢が数個であってもこの悪循環に身をさらさなければいけないマクシマイザーにとって、あふれる選択肢があちらそちらにある現代では選ぶこと自体お手上げです。

このように、マクシマイザーの選択スタイル+現代社会の手に負えない選択肢の山が、特にマクシマイザーにのしかかり、決断のたびに後悔を生み、人を不幸にさせているのです。

なぜ選ぶたびに後悔するのか|あふれる選択肢が人を不幸にする理由2

マクシマイザー+相当量の選択肢のほかに、人間の「慣れ」が人を不幸にさせています。

どういうことかというと、人間は常に「快楽」を求めています。

みなさんもエンターテインメントや最新のガジェット、トレンドの服など、やっぱり新しいものや楽しいものが好きですよね。

こういったものから「快楽」を得るために新しいもの・楽しいものを求め、その快楽に「慣れ」たらまた別の新しいもの・楽しいものに走る、このことをヘドニック・トレッドミル(hedonic treadmill)といいます。

ジムのランニングマシーンのように走っても走ってもどこにもいけないのと同じで「快楽」を求めても「慣れ」てしまうせいで満足できないアリ地獄な状態をいいます。

ヘドニック・トレッドミルは「快楽」への入り口で、最初は「慣れ」のせいである特定のものから「快楽」を得られなくなります。

さらにその状態がさらに進行すると、ある特定のものから得られる「快楽」レベルそのものに満足できなくなります。

小さい頃は公園で遊ぶだけでも楽しかったのに、今となってはお酒がないと楽しくない

こんな感じで、「快楽」のレベルが知らず知らずに上がり、今の状態では満足できないと感じるようになってしまうのです。

この快楽や快楽レベルへの慣れが人を不幸にしているのです。

なぜ選ぶたびに後悔するのか|膨大な選択肢から幸せを手に入れる術

This is bad news…

こんな風に感じた方もいるかもしれません。

何かを選択することから逃げられるわけでもなければ、悟りを開いたような人生を歩むこともむずかしいですよね。

そんな現代人があふれるほどの膨大な選択肢を目の前に、自分の選択から幸せになる方法は以下の3つです。

  1. サティスファイサーの選択スタイルを取り入れる
  2. 選択すべきこととしないほうがいいことを決める
  3. 自分が持っているものや身近な人に感謝をする

サティスファイサーの選択スタイルを取り入れる

マクシマイザーの選択スタイルをやめるには、サティスファイサーの選択スタイルを取り入れることがいちばんです。

具体的にサティスファイサーの選択スタイルは何かというと、「これで十分」と納得して決断することです。

どうすれば「これで十分」というレベルで選択できるようになるかというと、自分がその選択から何がほしいのかをクリアにすることです。

何がほしいのかの基準は他人のものさしではなく、自分の基準で考えなければいけません。

ショッピングでもキャリアでもなんでも、自分にとって重要な決断を迫られたときは、自分はこの選択から何を期待して、何を欲しているのか紙に書いてみてください。

こうすることで、何が自分にとっての「これで十分」かがわかりますよ。

選択すべきこととしないほうがいいことを決める

世の中には選択肢が何から何までありすぎて、靴下やらシャンプーやら爪切りやらとすべてこだわっていたらいつまでたっても選択肢のワナから抜け出せません。

なので、どんな選択はしっかり選ぶべきで、どんな選択は特にエネルギーや時間を「投資」せずに決断すべきか決めておきましょう。

わたしの場合、ペンはSignoの黒ボールペンをつめかえて使い続けたり、シャンプーやノートは今まで使っているものと同じものをずっと使い続けています。

もしペンのインクが切れるたびに文房具やにいってどのボールペンが書き心地がいいか調べて買っていたらとてもではないですが、時間がかかってしまいます。

わたしは今のボールペンが気に入ってますし、これ以上にいい機能や書き心地のペンがあろうとこのペンを使い続けます。

自分にとって何が大事なのかをクリアにしておくことで、自分にとってたいした決断ではないことはわざわざこだわらなくていいようにしておくことができるのです。

自分が持っているものや身近な人に感謝をする

マクシマイザーの人はないものねだりで、空想上の理想を追いかけているようなことが多くあります。

そんなマクシマイザーにならないようにするには、自分がすでに持っているものや身近にいる友達や家族に感謝をする習慣をつければいいのです。

感謝といってもずっと感謝のことばをかけるように意識するとかではなく、もっと根本的で簡単な方法があります。

それが感謝ノートです。

朝起きた後や寝る前などに、ノートに1日をふり返って感謝したことを書き出すだけです。

たとえばわたしの感謝ノートにはこんなことが書いてあります。

今日はぐっすり寝れたこと

今日も家族が生きていること

今日も朝ごはんを食べれること

今日もわたしの生活を支える仕事があること

こんな感じで自分がいつも当たり前にあるささいなことに注意を払って、それがどれだけ今の生活や自分のメンタルを支えているかをふと考えてみてください。

人間のないものねだりは人間をここまで進化させた力でもあり、人生の不幸のタネでもあります。

なので少しくらいはささいなことに感謝をして生活みましょう。

なぜ選ぶたびに後悔するのか|ちえみの感想

わたしは高校生のとき、所持金が少ないということもあり、コンビニでどの飲み物がいちばんおいしくて満足できるかじっくり考えてから買っていたことがありました。

今思えば自分の選択で後悔したくないという気持ちこそがわたしをマクシマイザーにしていたんだと気づかされました。

やっぱりあっちの飲み物にしておけば、、なんて思ったこともありました。

せっかく高校生なりのぜいたくをしているのに、あっちにしたらもっとよかったんだろうなと思いながら飲んだ飲み物なんてまったくおいしくないですよね。

今の自分がどれほど恵まれているか感謝しながら生きないと快楽の慣れの餌食になると改めて感じました。

これからの未来はさらにたくさんの選択肢であふれることを考えると、この本は意思決定のワクチンだと思います笑

学ぶことが多くて楽しかったな〜

薄いですが(笑)、感想はこれで以上です!!

まとめ

いかがでしたか?

この記事自体ボリューミーでしたが、それでも足りないくらい充実した内容で、選択肢の多さや現代における意思決定についていろんな心理学的な角度から解剖してくれた本でした。

ここでご紹介した要約以外にもまだまだ多くの意思決定に関する心理学的現象を勉強できました!

この本は以下のような方にオススメです。

  1. 物やサービスを売る営業マン・マーケター
  2. 心理学に興味のある人
  3. 最近選択肢を選ぶことが重荷に感じる人

ほかにもたくさんの選択肢が与える心理的な影響や後悔、うつなども解説しています。

ぜひThe Paradox of Choice(なぜ選ぶたびに後悔するのか)をチェックしてみてください!

今回の洋書書評はこれでおわり!

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